本作の最初の音、つまり「Pride (In the Name of Love)」のイントロで鳴り響くエッジのギターを耳にするなり、1984年の記憶が鮮やかによみがえる。その年、西欧社会ではロナルド・レーガンとマーガレット・サッチャーが幅を利かせ、スポーツニュースではロサンゼルス・オリンピックがトップを飾り、ゲームセンターではミス・パックマンが大流行していた。 そしてロックンロールの世界では、U2がニューアルバムとそのツアーで著しい成長を見せていた。このアイルランドの若者たちに懐疑的だった者でさえ、彼らが80年代を代表するバンドになったことを認めざるをえなかった。期待のしぼみつつあった80年代のロック界にあって、バンドにはすでに、かつてロックが誇っていたラジオエアプレイ数とステージワークを継承するスケール感と技量が備わっていた。この80年代のベスト選曲の15曲(最後に隠しトラックが用意されている)では、ボーカルのボノと仲間たちが聖歌隊のごとき繊細さと情熱をみなぎらせていた1980年の「I Will Follow」に始まり、最大の汚点である1988年の仰々しい『Rattle and Hum』におよぶバンドの軌跡を追っている。(Steven Stolder, Amazon.com)

 ・ amazon music : The Best of 1980-1990

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